第二日早朝の西面軍
嶮要敵の據る所となりて、千葉の軍、容易に進む能はず、狹擊を約せる遊擊軍は消息
殆んど絶えて成敗測るべからざるに似たり、本營の軍議乃ち田中をして親兵二十
餘を率ゐ、走せて千葉に協力せしむ、千葉大久保迎へて大に悅び、協議の極復た兵を
防策峴麓に進め、殊死して大に戰ふ、恰も好し、內田の遊擊軍、此時降兵を驅つて背面
より鼓譟して殺到す、京軍是に至つて糧路全く絶え、陣中頗る騷ぎ、頻に走路を求め
んと欲する者の如し、千葉田中、機を察して益益進擊に努め、內田亦頗る健鬪して突
貫を行ふ者幾回、京兵竟に自ら支へず、參參伍伍相伴ひ相助け、秋月山脈に從つて逸
奔す