7月26日
●朝鮮漁民の暴動後報 我大分縣速見郡豐岡村
松川實氏は所有漁船六隻を以て去月廿六日全羅道
所安島より濟州飛揚島に直航して漁業を營まんと
せしに風波の都合により同三十一日一時鍬子島に
到り順風を得るまで同所にて稜魚を漁し之を賣て
糧米に代へんものと網を使用し漁獲しつゝありし
が翌七月一日に至り島人は之を見て其漁事に妨害
ありとて大に故障を唱へ彼是れ談論の末本月三日
に至り彼等の鯖鉤舟より我船に向て多くの薪を投
ずる等頗ぶる亂暴を極め爲に舟中の器物を破毁せ
られたりしかば氏は之を同島の鎭官に訴へ其處分
を求め置きしに何の沙汰もなし氏は十二日に至り
其漁獲の魚を賣拂はんと右水營木浦に向ひて立出
し不在中韓舟二十七八隻我船の近傍に現はれ暫ら
くして陸上より一聲の喇叭を吹立るや此漁舟は豫
てより玆に碇泊せる韓舟と一團となり我船に向て
石を投じ且多數の韓人勢に乘じて我船に跳り移
り水夫を毆打し器物を破壞する等狼藉至らざる所
なく終に我水夫藤澤品吉、島井某の二名を鎭官の
所に連行き獄に投じたり松川氏は出先きに於て此
急報に接し直に本港に引返し其顚末を總領事館に
訴へ適當の處分と保護を乞ひ總領事館にては其筋
へ照會談判中の由なり頃日朝鮮漁民不穩の事を耳
にせしが此報を得て其事實を詳かにせり