8月10日
●馬嘶劍鳴錄 (承前)
四日 早天普州の馬を返へす、晝飯は山淸でや
る、役人に命じて▣▣を▣▣せしむ、ヌルポーに
泊る、
五日 雲峯に着す、いよいよ全羅道に入りたる
なり、雲峯は八道第一高地に在る都會、縣官非常
の好遇を爲し、役所にとめて馳走をする、實によ
い人間じや、山中の官人トント江戶では夢想だに
出來ず、
六日 雲峯より南原に向ふ、南原は諸道の要路
全州へ八十三里、長城へ十三里サア是からがいよ
いよ▣▣也
○湖南第一樓卽ち廣寒樓の槪觀
離亭の三人は▣▣▣に與ふる檄文を
草する處後に見ゆるは蛟龍山也
南原に着し府司に面會し、支那人も湖南第一樓と
書きたる廣寒樓(役所用にて先つ此邊第一の壯樓
也)に陣取る、
六日の夜より七日一ばい廣寒樓に滯在、出來る丈
の御馳走を喰ひ、朝鮮の燒酎も飮み、又竹酒と云
ふ珍品を官人より贈り來れり、盡く▣器を調ひ試
驗をドシドシやつた、